平沼紀久 出演舞台



−ストーリー−


1941年、広島。
髪島の浜では、髪一族の末娘・百合子(仲間リサ)がドイツに向けて出港しようとしていた。
髪島に住む髪一族とは、かつて大罪を犯したために卑賎の身分に落とされた卑しい泣き女の一族であり、また許された間諜の一族でもあった。
百合子の使命は、アドルフ・ヒトラー(大口兼悟)にアメリカに対して宣戦布告をさせること。そして原爆が完成したときには、ドイツに落とさせるよう工作すること…。
過酷な任務に向かう百合子を、犬子恨一郎海軍少佐(筧利夫、二役)は憎々しげににらみつけていた。 恨一郎と百合子は、遠い昔に夫婦の約束を交わした仲だった。心から愛し、共に生きようと誓った仲だった。
だが、冷たい雨の降りしきる日、百合子は恨一郎を裏切り、去っていった。その日から、恨一郎は女を愛することをやめた。
出港を前に一度抱いてやれという、首相の重宗(山本亨)の言葉を振り切り、恨一郎は出港を告げる。
今や大佐となった百合子は、恨一郎に敬礼を求めると、厳しい目で問いかけた。
「…まだ私を愛してくれていますか?」
「…愛しています。一日もあなたのことを忘れたことはありません」
二人の仲を裂くように、百合子を乗せた潜水艦イー26号はドイツへと出港していった。
犬子は、北関東血盟団の平沼(馬場徹)を部下に迎え、真珠湾攻撃の指揮をとる事になる。

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