平沼紀久 香子 城戸愛莉 出演舞台
FUNNY BUNNY -鳥獣と寂寞の空-


■ イントロダクション ■

年間 35,000 もの人間が自ら命を絶つ現代日本。

そのすべてを救うことなど、不可能に等しい。

だが、もしも目の前で「死」へ飛び込もうとする人がいたとしたら―――。

その一つの命を救うことを諦めたくはない。

そんな信念を持つ主人公・剣持聡には、或る事件をきっかけに特殊な能力が宿る。

それは自殺を決意した人間の体から―――蒼い光が見える、というモノ。

つまり剣持はある時から、自殺志願者を見分けられるようになった。

初め淡く、徐々に色濃く、その蒼い光は志願者の決意が固まるに連れ、強さを増してゆく。

自殺実行のタイムリミットが刻一刻と迫るなか、剣持は必死に考える。

「何をすれば、自殺を止められるか」

自殺を決意するには、決意するなりの理由があります。
そんな人間に「自殺はよくない」などと真っ当な説得をしたところで、解決するとは到底思えない。

想像してみましょう。
あなたが、本当に自殺を決意した人間だとして、ある日突然、見知らぬ男にこんな言葉を 投げかけられたとしたら―――。

例えば、或る志願者には―――「電波を盗みに行かないか」
また別の志願者には―――「記憶を盗みに行かないか」
また別の志願者には―――「視覚を盗みに行かないか」
また別の志願者には―――「ホームランを盗みに行かないか」

いずれも、肉眼では見えないモノ、或いは、実際に手では触れられないモノばかりです。
加えて、盗みに行かないか。多少なりとも、興味を惹かれるのではないでしょうか。
剣持聡は小説家志望の若い男です。
時が流れるに連れ、実際に小説家にもなります。
決して売れっ子にはなり得ませんが……。

ともあれ剣持は、「本当に伝えたいことは、物語らなきゃ伝わらないんだよ」とペンを武器に代えて、自殺を思い止まらせるための「物語」を紡ぎ出すのです。
人が生きることの意味、を伝える物語を。
その物語の主人公は、自殺志願者自身。
そのエンディングは、再び生きる希望を見出すこと。

そのために剣持は4人の仲間と共に行動を開始します。

FUNNY BUNNY―――それは、一つの命を救う物語。
FUNNY BUNNY―――それは、一話完結の軽快サスペンス。
FUNNY BUNNY―――それは、架空の小説の疑似体験。