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LDH

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クリエイティブ・ディレクター
佐藤可士和氏インタビュー

コンセプトは、“和”。
新しいLDHロゴマークに込めた想いと
その表現

──今回LDHの新しいロゴマークを創っていただきましたが、どのような想いが込められたロゴマークになっているのでしょうか?

「今までのLDHロゴマークは、地球がモチーフになったロゴマークでしたが、新体制になるということでそれをリスペクトしながらも、もっとシンプルに、より大事なところだけを取り出したというカタチです。

HIROさんが、”Love, Dream, Happiness“を伝え、みんなで一緒に繋がっていきたいということをおっしゃっていたのが印象的でしたので、
このロゴマークは “和”というコンセプトで考えています。

リングの“輪”でもありますし、日本の“和”でもあります。
この“和”がないと世界も平和にならないですし、LDHの社名にもある”Happiness”にも繋がらないですよね。

”Love” “Dream” “Happiness”という会社の理念が目指すことを端的に表現し、またコンセプトである “和”をストレートに表現したいと思い、赤い輪の中に黒で”LDH”とあるという強烈にシンプルな、ある意味これ以上削ぎ落とせないくらい、本質的に言いたいことを伝えるデザインになっています。

新体制の世界展開ではLove, Dream, Happinessで世界が繋がっていくという、“繋がり”というキーワードがテーマとしても出ていたので、“和(輪)”というモチーフに各国、各子会社のそれぞれの個性を独自のカラーバリエーションとして反映させながらも、みんなでひとつになって繋がっていきたいというメッセージがこのロゴマークには込められています」

──削ぎ落として、本質を見せるという結論に至った経緯を教えていただけますか?

「HIROさんの想いを伺ったときに、あまり小細工はしない方がいいなと最初に感じました。でもエンタテインメントの企業であるLDHなので、アイコンや記号にメッセージを込めたらどうなるかなど、いろいろなデザインをたくさん作らせてはいただきました。ご提案させていただくにあたってはもっと複雑なデザインのものもお見せしたのですが、議論した結果“やっぱりこれがいいよね”といちばんシンプルなものに決定しました。実は、いちばん最初に思いついた案だったんです」

──目に入った時のわかりやすさもありますね。

「ロゴマークやシンボルというものは、単純なほどいいんです。人間って複雑なものはすぐに覚えられないので、単純化されているものほど、1回見たら忘れない。印象的にも強いんです。ただ、単純化しすぎると一般化もしてしまうので、そのあたりには気をつけて慎重にバランスを検証していきました。もともとLDHというメッセージ性の強い社名があるので、今回それを真ん中に置いたことで成り立っているんだと思います」

──今回ロゴマークを創っていただきましたが、LDHという会社にはどのような印象を持たれていますか?

「今までのエンタテインメントの会社とは、目指しているところや存在自体がだいぶ違うように感じていて、すごく新しい感じがします。

単にいろいろなカテゴリーのエンタテインメントが集まっているのではなく、そこにひとつのメッセージがあって、それが輪になって広がっていて……それが非常に新しいあり方ですよね。

LDHはブランドになっていると思うんです。ブランドというのはただ単にある機能を持った会社組織ではなくて、ある想いを持って活動している集合体だと思うんですよ。たとえビジョンやメッセージがなくても会社の機能としては存在できますし、そういう会社はたくさんあると思うのですが、ブランドであるかどうかで存在価値が全然違います。

昨今“ブランディングが大事”だとされているのは、「あなたの会社は何をやっているの?」と聞かれた時に、「ただ人を集めて派遣しています」、「モノを仕入れて売っています」など単にそういうことだと「他もやってますよね? 何が違うんですか?」と機能だけでは差別化ができなくってしまうわけです。実際、機能的には何でも手に入る時代になっているだけに、どんどん差別化が難しくなっている時代です。そうすると、重要なのは“想い”になるんですよね。「どいうつもりでやっているのか」それが込められたものがブランドであり、可視化されたものがそのブランドのロゴマークになります。

そういう意味でいうとLDHというのはエンタテインメントの世界ではブランドのような存在感になっていると思います。今までの日本のエンタテインメント業界の中でもちょっと違うようなポジションに見えますね。例えば、ディズニーはブランドになっていますよね、会社という感じではなくて。それは、やろうとしていることがはっきりしているからですよね。
LDHにも明確なビジョンとメッセージがあるからこそ、会社としてではなくブランドになれるのだと思います。

どう活動して行くのか、その想いを一番端的に表すのが、ロゴマークであると考えています。日本の文化というのは、削ぎ落とす美意識のようなものがあります。余計なものを潔く削ぎ落とした、もうこれ以上引けないLDHの新しいロゴマークは、ある意味日本的でもあります。この“和”にはLDHのたくさんの想いが込められているのです」

──今回初めてHIROさんと仕事をされたわけですが、どのような印象をお持ちになりましたか?

「僕は今回仕事では初めて関わらせていただきましたが、以前からLDHはすごく新しい考え方で動いているなと外側から見ていました。実際にHIROさんにお会いしてみていろいろお話や想いを伺って “やっぱりそうだったんだ!”と感じましたね。
今までEXILEのHIROとして表に立っている姿しか見えていなかったのですが、今回ずっと何度もお話しをして、本当の意味でのクリエイターだなと思いました。
そのクリエイターというのは、作曲するとかそういうことだけではなくて、本当に何か新しい価値を生み出そうとしている人のことだと思っています。

たとえば経営者でもクリエイターである方はたくさんいます。たとえばスティーブ・ジョブズ氏は創業者であり社長ですがクリエイターでしたよね。ユニクロの柳井社長もそうですし、そういう経営者の方もたくさんいらっしゃいます。

もちろん映画をやっている人も音楽をやっている人も、スポーツ選手でも、何か本当に今までと違うパースペクティブ(展望)を提示しようと思っている人はみんなクリエイターだと思うんですよ。

そういう意味では、新しい価値を必死に創ろうとして、もっと見たことがない景色を見たいという意思はすごく貪欲で、HIROさんとの仕事はとてもおもしろかったです。

僕自身も価値観はしっかり持っていますが、決め打ちはできないのでいつもさまざまなパターンをご提案するのですが、やっぱり話し合いの中ではいろいろと悩みます。

今回もデザインを選ぶプロセスではたくさんの議論がありましたが「可士和さんが言っているんだから、最後はこっちの方がいいんじゃない?」とHIROさんがおっしゃってくれました「せっかくお願いしているんだから」と僕に頼んだ“意味”を尊重してくださって、その判断も潔くすごくスピード感があり、とても嬉しかったですね」

──HIROさんの判断や行動はいつもとても速いですね。

「HIROさんは速すぎますね。速いというのは何か見えているからだと思うんですよ。自分が行きたいところが、見えている。行き方を模索している最中ではあるのかもしれないですが、ビジョンはすごくはっきりとされていていますね。

そこに至る道筋を示したり「こういうことですよね」と可視化したりするのが僕のようなデザインをしている人の役割で、一通りのスタディーしたものをお見せしたんですが、この辺から選ぶであろうなと予想していたところからほぼズレていなかったですね」

──今後も可士和さんにLDHのデザインをお願いする機会が増えるかもしれませんね。

「ご一緒できたら、とてもおもしろいと思います。
僕はこのようなブランディングプロジェクトって、耐久性がないとダメだと思うんです。会社のロゴは次々と変えるものではないですし、シーズンものの洋服のデザインとは全然違いますよね。

僕はもともとそういうものの方が好きで、なるべく耐久性のある価値のようなものをつくりたいと考えています。今回のマークを発表するとすごくシンプルすぎて、驚かれる部分も絶対あると思います。

ただ、想いを理解してくださる人も多くいらっしゃるはずですし、僕は正しいことをやっていれば絶対結果はついてくると信じていますし、あとはコミュニケーションの仕方だと思います。

たとえば今回、ロゴ発表前の早い段階でHIROさんが “佐藤可士和が作っている”とブログで発表されていましたが、普通の企業なら完成するまで、秘密扱いしていると思います。でもブランドの創り方として、またコミュニケーションの方法としてそういったタイミングの図り方もとてもユニークで新しい感覚だなと思いました。
HIROさんだからやれることかもしれないですけどね。その人らしい、その企業らしいことかどうかというのがいちばん重要だと僕は思っています。反対に似合わないことをやっているのはよくないですよね。流行っているからといって、似合っていない服を着るのと同じで、社会的にこれがトレンドだからと振り回されていると、その人はブレて見えてくる。当然時代には流行り廃りがありますし、それはそれでいいとか悪いとかではなくて、要はその自分の選択が自分らしいかどうか。やっぱり最後に信用されるのはブレていない人だと思うんですよね。

だから全くブレのないHIROさんには、HIROさんにしかできない何か新しいことをどんどんやってほしいと思っています。今後もいろいろご一緒できれば楽しいなと思います」